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2009年3月17日 (火)

浦賀に眠る陽明学者 中根東里

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浦賀に眠る陽明学者

  中根東里(なかねとうり)

  明和2年(1765)2月、浦賀の地で、
 陽明学者・中根東里は、72年の生涯を終え、
 生前からの希望通り母の眠る東浦賀の顕正寺に
 自筆の「東里居士」の墓碑のもとで永い眠りについています。


   読書三昧の日々から
  東里は、伊豆の下田で生を受け、13才で剃髪し、
 まず禅門と浄土門に入りました。その後、
 古文辞学を提唱して儒学(じゅがく)に新風を起こした
 荻生徂徠(おぎゅうそらい)の門下を経て、
 儒学界の大御所的存在であった室鳩巣(むろきゅうそう)に
 師事し、朱子学を修めました。

  この当時の東里は、極貧の生活にもかかわらず、
 少しでも余裕ができると書物を買い求めて、
 戸を閉ざして読書三昧という生活ぶりでした。

  こうした時に友人から進められて読んだ
 『王陽明全集』に感激し、
 急速に陽明学へと傾倒していったのです。
 
  東里が学んだ陽明学とは、「知行合一(ちごうごういつ)」
 すなわち知識と行動とは同一のものでなくてはならないという教えです。
 日本では、中江藤樹によって江戸時代初期に紹介され、
 陽明学を学んだ大塩平八郎が乱を起こした江戸時代後期から
 幕末に全盛期を迎えました。
 東里の学問は、この間の重要な橋渡しの役目をしたことになります。

   子育ても学問の実践
  東里の陽明学は、弟子たちが栃木県佐野市の
 天明郷につくった「知松庵(ちしょうあん)」という
 塾を中心にして花が咲き、実を結びました。
 ここで過ごした20年余が、東里の最も充実した時期でした。
 ここでの生活の中で、東里が陽明学を実践しようとしたもののひとつに、
 弟子の子・芳子を育てることがありました。
 そのために『新瓦』を著し、
 その書き出しで「幼い芳子を教育することはまだできないが、
 いつか私の書いた文集が読み解けるように修行を積んでくれればよいし、
 もしそれができないのなら教養のある人がこの本をもとに
 芳子を教育してほしい。それがこの本を書く意図である」といい、
 芳子の子育て教育論からその生き方までを書き記しました。

   浦賀で神髄を悟る
  子育ては思うようにいかず、
 2年甘利で芳子は、
 浦賀に住む東里の姉(浦賀奉行所与力・合原程右衛門へ嫁いだ)
 の元へ引き取られています。
 この姉とのかかわりが、東里と浦賀のつながりなのです。
 最初に浦賀を訪れたのも、
 姉の元にいた母への見舞いとその葬儀でした。
 後に、生涯独身を通した東里が体力的にも衰えて
 病の床に伏せることが多くなってきた時に、
 浦賀に呼び寄せたのも、姉でした。

  浦賀での生活ぶりは、
 『東里先生行状』によると、海浜を散歩し、
 酒を飲み、和歌を詠じて楽しむというものでした。
 しかし、その一方で、
 『大人の歌(だいじんのうた)』や
 『人説(じんせつ)』を書いて天地万物一体の意味を明らかにし、
 陽明学の神髄を悟って学問の集大成を行いました。
  (山本 詔一)

    横須賀人物往来 改訂版
   平成11年(1999)8月23日発行
  編集・発行 (財)横須賀市生涯学習財団

   より転載させて頂きました

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コメント

  浦賀で神髄を悟る
  子育ては思うようにいかず、
 2年甘利で芳子は、
「甘利」は「余り」?

文芸春秋2月号に中根東里の話が載っています

はじめまして。

遅なり御免なさい。

色々情報提供頂き、有難う御座います。

又お暇な時にでも、お立ち寄り下さい。

凄い人だったんですね~
中根東里の本ないですかね~~

中根東里 で プログ検索中です
あるプログで 水を飲んで楽しむ者あり、綿を着て憂うる者あり。を見ました。
今夜 初めて この人の名を 知りました。勉学に 励んだ人ですね。
義務教育 高校では この人を 習っていないと 私の記憶です。受験にも でないかなぁ?
伝記同好会(名前検討中

村石太ゴンさん!!
おはようございます。

凄い勉強家ですね。
頑張ってね!!

訪問とコメント有難う。

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